「平日の昼に面接を入れたいけれど、現場のカレンダーに予定が見えてしまう」。SESで在職中に転職活動を始めようとすると、最初にぶつかるのがこの壁です。
私はSESで4社の客先常駐を経験し、契約は3か月更新、現場の入れ替わりも何度も見てきました。今回は、私の現場で実際に動いている仕組みから、段取りを組み立てます。
この記事で分かること
- SESの在職中に転職活動をするとき、会社や客先に「知られる経路」が4つあること
- 3か月更新から逆算した、応募・面接・退職の申し出の順番とスケジュール
- 現場を休まず面接を組む時間帯の選び方と、Web面接をする場所の考え方
- 転職サイトのブロック設定でできること・できないこと
- 待機中・契約終了の合間に動く場合の注意と、退職を伝える順番
目次
- SESで在職中に転職活動をするときの前提と、知られる4つの経路
- 私の立ち位置:カジュアル面談2社まで
- 転職活動が知られる4つの経路
- 更新サイクルから逆算する、SESの在職中の転職活動スケジュール
- 3か月更新と、営業の「更新の2か月前」という目安
- 退職希望日から逆算する例
- SESで現場を休まず面接を組む方法
- 面接を入れやすい時間帯を比べる
- 客先のカレンダーに予定が見える前提で、書き方を決める
- 半休の端数は、作業報告と勤怠の両方に出る
- Web面接はどこでやるか:客先のPC・回線・フロアは避ける
- 在宅の日は面接を入れやすいが、勤務時間中は別の話
- 面接日程の調整メールに入れておくこと
- SESの転職活動を会社にバレないようにする設定と注意点
- ブロック設定でできること
- SESで、ブロックに入れる社名の範囲
- 2023年に起きた、ブロックが効かなかった不具合
- 自社が人材紹介も扱っている場合のエージェント選び
- 客先・現場で知られる行動を避ける
- 同僚・自社の人には、内定が出るまで言わない
- 待機中・契約終了の合間に転職活動をする場合
- 私は待機を一度も経験していません
- 契約終了が決まってからの時期は、動き方が変わる
- 次の案件を断って転職活動に専念するかは、内定が出てから
- 内定が出たあとの退職の伝え方:自社の営業が先、客先は後
- 退職を伝える流れ
- 営業に伝えるときは、日付と引き継ぎの案を持っていく
- 転職活動を始める前に、現場を変える手と比べておく
- まとめ:知られる経路を塞ぎ、更新から逆算して動く
SESで在職中に転職活動をするときの前提と、知られる4つの経路
在職中に動くこと自体はごく普通ですが、SESは会社が1社ではありません。雇用主である自社、常駐先の客先、間に挟まる元請けなど、転職活動の情報が漏れうる相手が最低でも3社あります。
この章では、先に私の立ち位置を書いたうえで、漏れうる経路を4つに分けて整理します。
私の立ち位置:カジュアル面談2社まで
2025年に3社目の在籍中、スカウト型の転職サービスに登録して、自社開発企業とのカジュアル面談を2社受けたところまでが、これまでの転職活動のすべてです。その経緯は別の記事に書いています。
つまりこの記事は成功談ではなく、客先常駐の4社で見てきた予定の見え方、PCや回線の扱い、有給の承認ルート、契約更新の時期といった仕組みから、在職中でも現場を休まず、知られずに動く段取りを組み立てた内容です。
転職活動が知られる4つの経路
私の整理では、SESで転職活動が知られる経路は4つです。
| 経路 | 起きやすい場面 | 対策の方向 |
|---|---|---|
| 転職サイト・エージェント | 自社や客先の人事、営業が登録情報を見る。エージェント経由で自社に話が渡る | ブロック設定、エージェント選び、経歴の書き方 |
| 客先の設備 | 貸与PC、客先の回線、共有カレンダー、会議室 | 転職関連の作業は私物端末と私物回線で、予定の書き方を決める |
| 現場・自社の人間関係 | 雑談、帰社日の会話、同期との飲み会 | 内定が出るまで誰にも言わない |
| 手続きの書類 | 有給の申請理由、作業報告と勤怠のずれ、職務経歴書のコピー | 申請の書き方を決めておく、提出する前に誰の目に触れるか確認する |
後ろの章で、この4つを順番に潰していきます。
更新サイクルから逆算する、SESの在職中の転職活動スケジュール
SESの転職スケジュールは、応募時期から前向きに組むより、更新日から逆算して組むほうが失敗しにくいです。契約は3か月ごとに更新され、動ける期間が更新のリズムで区切られるからです。
ここでは、更新のしくみを確認したうえで、退職希望日から逆算する具体例を見ていきます。
3か月更新と、営業の「更新の2か月前」という目安
3か月更新の仕組みは、3か月更新の記事に詳しく書きました。私の現場では、更新の連絡は更新月の前月に、自社の営業から1行のチャットで届きます。
さらに、現場を変えたいときの相談について4社目の営業に確認したところ、「更新の2か月前までに言ってもらえれば、客先との調整に間に合う」という答えでした。これは営業が口頭で答えた目安で、法律や契約書の条文ではありません。
ただ、退職も「要員が1人抜ける」という意味では同じ種類の話です。退職を伝える期限として、この目安を意識すると、客先との調整が間に合いやすくなります。
退職希望日から逆算する例
具体的に、3月末で退職したいと仮定します。契約が1月・4月・7月・10月の頭に更新される現場だとすると、3月末は契約期間の末日です。
契約期間の末日に退職日を合わせた場合のスケジュール例(私が組み立てた仮の日程で、実際の転職の記録ではありません)
この例では、2月の初めまでに内定を承諾し、すぐに営業へ申し出ることになります。面接が遅れて内定が2月中旬になれば、更新の2か月前は過ぎています。その場合は、次の契約期間の末日を退職日にするか、期間の途中で退職日を設定します。更新の2か月前は客先との調整を楽にするための目安であり、退職できる最短の日付ではありません。
この逆算の前提
民法627条では、労働者からの退職の申し入れは、使用者の承諾がなくても2週間を経過すれば効力が発生するとされています。ただし就業規則に社会通念上著しく長くない退職の申出期間があれば、トラブル防止のため、まずはそれに沿うのが無難というのが労働局の説明です(出典: 茨城労働局 退職に関するQ&A)。上の日程は法律上の最低ラインではなく、引き継ぎと客先の調整に余裕を持たせた私の見立てです。
法律面の詳細は、次の記事に整理してあります。
逆算するときは、更新日だけでなく、現場のリリースや結合テストの山も共有カレンダーで確認し、避けられる週を先に見つけておきます。山と面接が重なれば、休めない日が続くからです。
SESで現場を休まず面接を組む方法
結論休みを取らずに済ませるのではなく、休みを「どの形で取るか」を先に決めます。半休、始業前、終業後、土日を組み合わせれば、1日丸ごと休む回数は減らせます。
在職中の面接で一番大変なのは、日中に現場を離れる時間をどう作るかです。SESでは、その時間の取り方が客先と自社の両方に見えます。
ここでは、時間帯ごとの選択肢、客先に見える予定の扱い、Web面接の場所の順で見ていきます。
面接を入れやすい時間帯を比べる
時間帯ごとに、使いやすさと注意点を整理します。
| 時間帯・方法 | 使いやすさ | 注意点 |
|---|---|---|
| 始業前(早朝) | 現場の予定に影響しない | 相手企業が受けてくれるかは企業次第 |
| 昼休み | 休暇を取らずに済む | 1時間では足りず、移動もできない |
| 終業後(18時以降) | 現場を休まなくて済む | 残業が長引くと遅刻する。20時以降は相手側の都合も限られる |
| 半休(午前・午後) | 現場の稼働を半日分は維持できる | 自社の勤怠と客先の作業報告の両方に半休が出る |
| 有給1日 | 時間を気にせず動ける | 共有カレンダーに全員が見える形で残る |
| 土日 | 現場の予定に影響しない | 実施してくれる企業は限られる |
私の経験では、終業時刻は2社目で20〜21時、3社目と4社目は定時〜20時でした。つまり「終業後なら18時台」という前提は、私の現場ではあまり成り立ちません。
終業後で組むと、残業が出た日に遅刻する危険が増えます。私なら、20時以降の面接は自分の現場の残業実績を踏まえて断るか、日程をずらしてもらいます。
客先のカレンダーに予定が見える前提で、書き方を決める
私の現場では、有給は自社の勤怠で申請し、その前に現場のリーダーへ口頭で相談して共有カレンダーに入れます。4社目では共有カレンダーへの登録が必須で、前週までにチャットで一言入れるのが目安です。運用の詳細は、有給が取れない理由の記事に書きました。
つまり、面接で休みを取ろうとすると、現場の全員に「この日は休み」と分かる形になります。見え方を決めておくために、次の順で確認します。
- 自社の勤怠システムの申請画面を見る休暇の理由が必須入力か任意かを確認します。必須なら、上長が理由を見るかも先に把握します。
- 共有カレンダーの書き方を、他の人の入れ方で確認する用件を書く人が多いか、「休み」だけの人が多いかを観察します。周りに合わせるのが一番目立ちません。
- 面接は複数社を同じ日にまとめる休暇の回数が減り、カレンダーに残る印象も小さくなります。
- 毎週同じ曜日に休まない毎週金曜の午後に休むなど、パターンができると周りが気づきます。曜日はばらします。
半休の端数は、作業報告と勤怠の両方に出る
客先に出す作業報告と自社に出す勤怠は連動していないので、半休の時間はどちらにも正しく反映します。片方だけ直し忘れると、月末に数字が合わなくなります。
面接の時間を「稼働」にしない
客先との契約は、稼働時間に応じて請求される形が一般的です。面接で離れた時間を稼働として報告すれば、転職活動の時間分を客先に請求することになります。これは在職中の転職活動で一番避けたい種類のトラブルなので、面接の時間は必ず休暇として整理します。
Web面接はどこでやるか:客先のPC・回線・フロアは避ける
オンライン面接が増えたのは追い風です。ただしSESでは、場所の選び方を間違えると客先に筒抜けになります。
私の4社では、私物PCの持ち込みは1つも認められず、業務PCは必ず貸与されました(詳細はPCの貸与の記事)。貸与PCで通信やアクセスをどこまで確認されるかは、私には分かりません。分からない以上、転職活動に使うのは私物の端末と私物の回線だけと決めておくのが安全です。
- 貸与PCで、転職サイトの閲覧、応募、面接用のビデオ会議を使わない
- 客先のWi-Fiにつないだ私物スマホで、転職サイトを開かない
- 客先のフロアや会議室で、電話面接を受けない
- 面接のメールやカレンダー招待は、勤務先ではなく私的なアドレスで受ける
在宅の日は面接を入れやすいが、勤務時間中は別の話
4社目は最近ほぼフル在宅で、移動時間がありません。半休と組み合わせれば、現場を離れる時間は対面の現場よりかなり短くなります。ただし在宅でも、勤務時間中の面接は自社に拘束された時間です。面接は半休か休憩時間内に収めます。
出社がある現場で近くの個室を借りるなら、最寄り駅周辺は同僚と出くわしやすいので、現場とは反対方向の駅のほうが安全です。
面接日程を確定する前の確認
- 面接の日は、現場のリリース、結合テスト、定例の山と重ならないか
- 休暇の理由は、自社の勤怠で必須入力か、「私用」で足りるか
- 面接で使う端末は私物か、回線は自宅か私物スマホの回線か
- 複数社の面接を、同じ日にまとめられないか
- 面接の時間を、作業報告上の稼働にしていないか
面接日程の調整メールに入れておくこと
日程調整では、客先常駐で働いていることを最初から伝えておきます。後から条件を出すより断られにくくなります。
日程調整メールの文例(私が組み立てた例)
現在、客先常駐で勤務しており、平日の日中は現場の予定により調整が難しい状況です。恐れ入りますが、次の枠でご調整いただけますと幸いです。
・平日の始業前(8時台)、または18時半以降
・土曜日の日中
・Web面接の場合、平日12時〜14時のうち1時間
現場の都合で直前に日程が動く可能性があるため、変更のご連絡はできるだけ早く入れます。
候補を複数並べ、変更の可能性を先に伝えておけば、企業側にも準備ができます。
SESの転職活動を会社にバレないようにする設定と注意点
結論転職サイトのブロック設定は有効ですが、完全ではありません。SESでは自社だけでなく客先や元請けまで入れ、そのうえで「設定が効かなかった場合」を想定して動きます。
ブロック設定は、転職サイトに登録したら最初にやる作業です。ただ、仕組みと限界を知らないまま登録すると、思わぬ形で漏れます。
ここでは、マイナビ転職の公開情報と過去の不具合の報道を押さえたうえで、SES特有の設定の考え方を整理します。
ブロック設定でできること
マイナビ転職には「非公開企業設定」があり、特定の企業をブロックできます。キーワードは部分一致(社名の一部に指定したワードを含む企業の閲覧をブロック)で、最大50個まで登録できます。特定の転職エージェントからスカウトを受けたくない場合も、この設定に紹介会社名を入れます(出典: マイナビ転職 非公開企業設定)。
私が公開ページで確認できたのはこのサービスだけです。ほかのサービスの仕様は確認できていないので、登録するサービスごとにヘルプページを自分で読んでください。
SESで、ブロックに入れる社名の範囲
SESの場合、設定に入れる社名は自社だけでは足りません。
ブロックに入れておきたい社名
- 自社通称、旧社名、グループ会社も含めます。社名変更の履歴があれば、旧社名も入れます。
- 今の客先人事や情報システム部門の目に、経歴が触れる可能性を消します。
- 元請けなど、商流の上位にいる会社自分から見えていない会社もありますが、分かる範囲で入れます。
- 過去の客先過去の現場の担当者が、今の会社の別部署にいることがあります。
部分一致なので、社名の短い共通語を入れすぎると他社まで除外してしまいます。逆に社名の一部で入れておけば、表記ゆれにも対応できます。自社名は正式名称と略称の2通りを入れるのが現実的です。
2023年に起きた、ブロックが効かなかった不具合
ブロック設定は、システム側の不具合で効かなくなることがあります。2023年11月7日、パーソルキャリアがdodaスカウトサービスの不具合を発表しました。ブロック機能が作動せず、一定の条件下で登録情報の一部が直近の勤務先企業から閲覧可能な状態だったというものです(出典: ScanNetSecurity)。
この件で私が受け取った教訓は2つです。設定は「入れたから安心」ではなく定期的に見直す対象だということと、ブロックが効かなかったときに困る情報は、最初から登録しないということです。
- 職務経歴の概要に、客先名、プロジェクト名、システム名を書かない
- 担当した業務を、業界・規模・技術の言葉で抽象化する
- 氏名・連絡先の公開範囲を最小にする
ブロック設定は、完全な防御ではありません
設定を入れても、社名の表記ゆれ、サービス側の不具合、エージェント経由の情報共有など、漏れる経路は残ります。「ブロックしたから知られない」と考えず、「知られても困らない書き方で登録する」ことを基本にします。
自社が人材紹介も扱っている場合のエージェント選び
SES企業のなかには、人材紹介事業を併せて持つ会社があります。自社のホームページや会社案内で確認し、自社関連の紹介会社が登録先に含まれないようにします。
エージェント経由で応募する場合は、面談の最初に「現在の勤務先には、応募の事実を伝えないでほしい」と明確に依頼します。口頭で終わらせず、メールなど文面でも残しておくと、あとから確認できます。
客先・現場で知られる行動を避ける
3社目はインターネットが一部制限されていて、エラーメッセージの検索などは通りましたが、通信の中身まで確認されているかは私には分かりません。だから貸与PCや客先の回線は使わないのが基本です。
見えているのは画面だけではありません。次のような物理的な行動も、気づかれる原因になります。
- 就業中に、私物スマホの転職サイトの画面を開いたまま席に座る
- 面接の電話を受けるために、頻繁に席を外す
- 服装が急にきちんとしたものになる
- 現場の近くのカフェで、履歴書やパソコンを広げる
4社目はほぼ在宅なので、服装や席を外す問題は今は起こりません。出社がある現場なら、面接の日だけジャケットで来るのは目立つため、着替えを持って移動するほうが無難です。
同僚・自社の人には、内定が出るまで言わない
最後の経路は人間関係です。誰かを疑う話ではなく、構造の話です。SESでは、同じ現場の人が自社の営業と日常的にやり取りしています。悪気がなくても、「最近転職を考えているらしい」という一言が営業に届くことがあります。
内定の承諾が済むまで、誰にも話さないのが、私の考える基本の守り方です。相談したくなりますが、相手は現場の外の人(転職エージェントや社外の友人)にします。
待機中・契約終了の合間に転職活動をする場合
SESには、契約が終了してから次の現場が決まるまでの空白期間があります。日中の時間が取れるので動きやすそうに見えますが、自社の営業が次の案件を探している時期でもあり、動き方には注意が要ります。
ここでは、私の現場の事実と、案件面談と転職活動の兼ね合いを整理します。
私は待機を一度も経験していません
私は4社とも待機(アサイン待ち)を経験していません。契約終了のあとは、いつも次の現場が先に決まっていました。3社目から4社目への移動は、体制表に自分の名前がないことに気づいた約2週間後に営業から連絡があり、さらにその10日後に次の案件が提示される流れでした。
契約終了の通知から最終日までは1か月前後あります。詳細は次の記事に書きました。
待機中の給与は会社と契約によって違うので、制度面は待機中の給与の記事に任せます。
契約終了が決まってからの時期は、動き方が変わる
契約終了の通知から最終日までの数週間は、引き継ぎは進めつつ新規の作業が減るので、面接を入れやすい時期です。ただ、営業から連絡が入りやすく、案件面談の日程も入りやすくなります。転職の面接と案件の面談が重なり、優先順位を迫られる場面は十分ありえます。
私は契約終了が決まった時点で、営業に「次はJavaかTypeScriptがいい」と希望を伝えました。転職活動を並行する場合も、この希望は普通に伝えておくほうが自然だと私は考えています。急に希望を出さなくなると、かえって何かあるのかと営業に思わせかねないからです。
次の案件を断って転職活動に専念するかは、内定が出てから
ここは私見で、人によって判断が分かれます。私なら、内定の承諾が済むまでは次の案件の面談も受けます。案件面談は受けても、内定が出れば辞退できます。逆に案件面談を断って内定が出なかった場合、待機が長引き、給与がどうなるかは会社次第だからです。
ただし案件面談を受けた結果、案件が決まったあとに内定が出る場合もあります。入場前に退職を伝えられるかは、次章の順番と合わせて自社の営業に相談します。
内定が出たあとの退職の伝え方:自社の営業が先、客先は後
結論順番は、内定の承諾 → 自社の営業 → 現場のリーダー → 客先、です。客先や現場に先に話すと、自社が客先から退職の話を聞かされる形になります。
SESでは雇用主と常駐先が別なので、伝える順番の意味が一般の会社より重くなります。ここでは、流れを図で見たうえで、伝え方の注意点を整理します。
退職を伝える流れ
- 内定を承諾書面で条件を確認
- 自社の営業・上長退職の意思と希望日
- 現場のリーダー自社と合意のあとで
- 引き継ぎ資料と後任への説明
- 退職日貸与物を返却
内定の承諾より前に営業へ話すと、内定が取り消しになった場合に戻る場所がなくなります。承諾より前に動けるのは、書類の準備と面接日程の調整までです。自社と退職日を合意する際の注意は、前述の契約期間中の退職の記事にあります。
営業に伝えるときは、日付と引き継ぎの案を持っていく
「辞めたいです」と曖昧に切り出すより、希望の退職日と引き継ぎの案を一緒に持っていくほうが話が進みます。営業の最大の不安は、後任が見つかるまで客先との契約を維持できるかだからです。私なら次のように切り出します。
転職先が決まったので、3月31日付で退職したいと考えています。
今の現場の引き継ぎは、資料を整えて、後任の方に説明する形で進めたいです。
わかりました。客先への伝え方を、先に相談させてください。
これは実際のやり取りではなく、ここまでの整理から組み立てた想定の会話です。大事なのは、日付、引き継ぎの案、客先への連絡は営業と相談してから、の3点です。
なお、退職日までに有給が残っているなら、引き継ぎ期間と有給消化が重なります。入社日の相談は、内定の承諾の時点で、引き継ぎの見込みと有給の残りを含めて話しておきます。
転職活動を始める前に、現場を変える手と比べておく
転職活動は時間も気力も使います。現場への不満が理由なら、自社に在籍したまま常駐先だけを差し替える相談のほうが早い場合があります。方法は別の記事に書きました。
私の見立てでは、判断の軸は「問題が現場にあるのか、会社にあるのか」です。
転職を考える前に、切り分けること
- 現場の問題残業が多い、技術が古い、担当が狭いなど。営業に相談して現場が変われば解決します。
- 会社の問題単価に対して給与が低い、評価が見えない、案件の選択肢が少ないなど。現場を変えても解決しません。
- 働き方の問題客先常駐そのものが合わない。自社開発や社内SEなど、働き方の選択肢を検討します。
1つ目なら社内の相談で足りますし、2つ目と3つ目は転職を考える理由になります。切り分けないまま転職すると、次の会社でも同じ不満を持つ可能性があります。
まとめ:知られる経路を塞ぎ、更新から逆算して動く
SESの在職中の転職活動は、現場の稼働を止めず、自社と客先に知られない順番で動くことが肝心です。客先常駐の仕組みから組み立てた段取りとして、次の点を押さえておきます。
- 知られる経路は4つ。転職サイト、客先の設備、人間関係、手続きの書類
- スケジュールは更新日から逆算する。営業の目安は更新の2か月前
- 面接は始業前、終業後、半休、土日を組み合わせる。面接の時間を作業報告で稼働にしない
- 転職活動は、貸与PCや客先の回線を使わず、私物の端末と回線で行う
- ブロック設定は自社だけでなく、客先・元請けも入れる。不具合も想定して、経歴は抽象化して書く
- 退職は内定の承諾後、自社の営業が先、客先は後。日付と引き継ぎ案を持って伝える
最初の1歩は、転職サイトに登録する前に、自社の勤怠の申請画面と、現場の共有カレンダーの使われ方を確認することです。どちらも10分で済みます。
それが分かれば、面接を入れる日、休暇の理由の書き方、使う端末が決まります。経路を先に塞いでおけば、あとは更新のカレンダーと照らして、自分の動ける時期に絞って動くだけです。
現場を変えるだけで済む話か、会社を変える話かは、先に切り分けておいてください。転職するにしても、しないにしても、その整理が次の一手を決める材料になります。




